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第12位:ゴッドファーザー PARTⅡ

ドラマ・犯罪・マフィア

The Godfather Part Ⅱ

  • 監督:フランシス・フォード・コッポラ
  • 脚本:マリオ・プーゾ
  •    フランシス・フォード・コッポラ
  • 原作:マリオ・プーゾ
  • 出演:アル・パチーノ(スケアクロウ、ジャスティス、スカーフェイス)
  •    ロバート・デュバル
  •    ダイアン・キートン(アニー・ホール、レッズ、マイ・ルーム)
  •    ロバート・デ・ニーロ(タクシー・ドライバー、ディア・ハンター、レイジング・ブル)
  • 1974年/米/200分

さて、「ゴッドファーザーPARTⅡ」のあらすじです。ネタバレですので注意! 

 前作「ゴッドファーザー」で、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)は、甥っ子のゴッドファーザー(洗礼式の代理父)となり、その誓いの言葉をなぞって聖ミカエルが悪魔を倒すかのごとく、ファミリーの敵を排除した。こうしてマイケルは二代目ドン・コルレオーネとして君臨した。そこで使われたクロスカッティングのシーンが見事で、あまりにも有名である。

マイケル邸襲撃事件 「思っていたことが起こった。」

 1958年、マイケルは拠点をニューヨークからネバダ州ラスベガスへと移し、カジノホテルビジネスも軌道に乗っていた。ネバダの大学に多額の寄付をしたり、慈善(偽善)事業も怠らず、カジノビジネスは合法的に、賭博管理委員会とも問題はない。妻のケイ(ダイアン・キートン)は、夫が早く裏の社会と手を切ることを願い、マイケルもそれに向かって努力していると言う。しかし、表社会のビジネスに手を伸ばそうとしても、それを良く思わない議員や敵対勢力の妨害に会う。マイケルの敵は絶えないのである。

 ネバダ州の上院議員ギーリーは、表向きはマイケルの州への貢献を讃えつつ、マイケルが次に狙っているカジノの利権がらみの情報から、法外な許可料とマージンを要求してくる。とにかくこの男はマフィア嫌いでイタリア系嫌い。マイケルに向かって「ポマード頭で白スーツ着て、アメリカ人でございと商売してる君たちのような人種は好かん、君もファミリーも格好つけててムシズが走る、二度と私に接触するな」なんて面と向かって言っちゃう。こんな奴にマイケルが黙って金を払うわけがないじゃないか。命があっただけありがたいと思うべきだ。「あんたに払う金はないがカジノの許可はしっかりいただく」と言うマイケル。二人のやり取りを間で聞いてたマイケルの義兄でファミリーの弁護士トム・ヘイゲン(ロバート・デュバル)のハラハラ顔は必見である。

 マイアミを仕切るハイマン・ロスの手下ジョニー・オーラが、マイケルに仕事の話を持ってくる。マイケルが狙うカジノを経営するクリングマンを追い出すのに協力しようというのだ。クリングマンよりマイケルの方が、ロスにとって有益になると考えたのだろう。ジョニーは、ロスが仕事のパートナーを大事にする事を強調して言う。ロスはパートナーを大事にしたから生き残っている。逆に言えば、パートナーを大事にしないと生き残れないぞという、マイケルへの脅迫めいた言葉でもあった。この時マイケルは、仕事の領分が違うと言ってトムを部屋から排除していた。

 ニューヨークのフランクが、マイケルに殺しの許可をもらいにやって来る。彼はコルレオーネファミリー創設を担った故クレメンザの後継者で、縄張り争いでロサト兄弟ともめていた。しかしマイケルはフランクの訴えを却下する。ロサトのバックには、今後のビジネスパートナーになるかもしれないハイマン・ロスがいるからだ。フランクは陽気なオヤジだが、少々言葉に品がなく、マイケルからはコルレオーネらしくしろとたしなめられる。糞くらえと出ていくフランクを、事によっては消さなければならない時が来るかもしれない、この時のマイケルはそんなふうに考えていたように思う。

 新たなビジネスと、古参からの人間関係がうごめき始めたその晩、タホ湖岸にあるマイケル邸の夫婦の寝室が何者かによって襲撃された。二人とも無事だったが、マイケルは怒り、ケイは恐怖を憶える。ケイはこの時三番目の子供を身籠っていた。

 「思っていたことが起こった。」

マイケルの基本理念は「やられたやり返す」。平和協定とか手打ちとかは有り得ない。常套手段の「駆け引き」だって、黒幕をあぶり出して排除するための策に過ぎない。

 ハイマン・ロスは先代ヴィトーと深い縁を持っていたが、ヴィトーが心からロスを信じていたかは、今や知る由もない。ヴィトーは思慮深く、常に警戒心を忘れない男だった。マイケルには「いつも相手の身になって考えろ」と教えていた。その言葉の真意は「相手がこの先、自分を裏切った方が得と考えているか、損と考えているか、それを考えろ」ということ。相手が自分にとって敵か味方かを見極めろ、ということなのだ。マイケルはトムの事を信頼し、彼にコルレオーネの全てを託して、マイアミ行きを決めた。ロスが自分にとっての敵か味方かを見極めるために。

 前作「ゴッドファーザー」でのヴィトー・コルレオーネは、既にニューヨーク五大ファミリーのボスとして君臨し、巨万の富と、政財界の大物との交友を持つ成功者だった。それ以前にはハイマン・ロスらと共に糖蜜などの輸入出業を営む商売人の顔を持つ。

イタリア系アメリカ人のヴィトーが、いかにしてニューヨーク最大マフィアのボスにまで登りつめたのかがここに語られる。

 1901年、9歳のヴィトー・コルレオーネは、ニューヨーク湾のエリス島にある病院施設に収容されていた。

イタリア、シチリア島コルレオーネ村で生まれたヴィトーの本名は、ヴィトー・アンドリー二。父も兄も母も、地元を仕切るマフィアのドン・チッチオに殺された。大人になったらきっと報復に来るだろうと、残されたヴィトー少年も命を狙われるが、村人の協力でチッチオから逃れ、移民船でニューヨークへ渡った。

そしてアメリカの入国管理官によって、付けていた名札の「コルレオーネ出身のヴィトー・アンドリー二」から「ヴィトー・コルレオーネ」と間違って登録され、やせ細ったヴィトーは天然痘と診断され、隔離病棟に送られたのだった。

 1917年ニューヨークのリトルイタリー、25歳になったヴィトー(ロバート・デ・ニーロ)は妻と生まれたばかりの長男ソニーと三人、貧乏ながらも幸せな家庭を持つようになっていた。その頃、街はマフィアのドン・ファヌッチが仕切っていた。商売をしているイタリア人は売上金をファヌッチに巻き上げられても逆らえないでいる。それを知ったヴィトーは、イタリア人がイタリア人を泣かすなんておかしいだろうと憤りを見せる。

ヴィトーは友人ジェンコ・アッバンダンドの父親が営む食品店で真面目に働いていたのだが、ファヌッチのせいで首にされる。その時自分を不当に解雇した店主に対して「あなたは父親のように優しくしてくれた、忘れないよ」と礼まで言って穏やかに店を去った。せめて家族にと店主が持たせてくれようとしたたくさんの食料品も「もらえないよ」と断って。そんな日でも妻のために梨を1個買って帰り、妻は美味しそうねと言って微笑んでくれた。

若き日のヴィトーのエピソードは、その後皆から尊敬されるマフィアのドン・コルレオーネという人格がどうやって出来上がったかという事を十分に説明してくれている。

ドン・コルレオーネとしてのヴィトーは、金よりも恩義で人と繋がり、友として忠誠を誓うことで人間関係を築き上げてきた男だった。そして何よりも家族を大切にした。若き日のヴィトーも既にその考えを持っていた。彼はコルレオーネ村で孤児になった自分を助けてくれた村人たちへの恩を忘れない。孤独な自分に家族ができた時の喜びを忘れない。そしてイタリア人はイタリア人同士助け合っていくべきだという考えを持っていた。

仕事を失った頃、生涯の盟友となるクレメンザと出会う。ひょうひょうとして面倒見の良さそうなクレメンザは、銃を持って空き巣に入るようなヤバい男だった。金持ちそうな家に忍び込み、絨毯を丸めて持ち出す。それを手伝ったのがヴィトーの最初の犯罪だった。

キューバ革命 「奴らは金のために戦ってない。」

 1959年1月1日に起こるキューバ革命の少し前、マイケルはラスベガスから更に、キューバの首都ハバナへの進出を計画していた。ハイマン・ロスはキューバの利権を多く握っている。

 ロスに会いにマイアミにやって来たマイケルは、自宅の襲撃事件の事、そして自分の部下フランクと、ロスの部下ロサト兄弟がもめている件を話す。ロスには「フランクが自分を殺しに来た。フランクを消そう」と言う。

一方フランクには「俺を殺そうとしたロスを油断させるために、ロサトと休戦しろ」と言う。襲撃事件の黒幕をあぶり出し、排除するために二人に罠を仕掛けたのだ。

マイケルに言われロサトに会いに行ったフランクは、そこで殺されそうになるが、たまたま警官が立ち寄ったため一命を取りとめる。負傷したフランクと彼のボディーガードチッチは警察に保護され、はめられたと悟ったフランクがマイケルを恨む結果となってしまった。

 禁酒法以降アメリカの大企業の多くがキューバに投資し、バティスタ大統領政権と蜜月関係を築き金儲けをしていた。ハイマン・ロスも大統領とは旧知の友で、ここハバナで開かれるロスのバースデーパーティーのために、アメリカ大企業の代表たちが集められた。マイケルも「旅行レジャー協会代表ネバダのマイケル・コルレオーネ」と紹介される。

この頃のキューバは、大統領政権と反政府ゲリラとの紛争が活発化しており、もしアメリカ企業と仲良しの大統領政権が失墜すれば、ここに招待されたアメリカ人たちはキューバから追い出されることになる。一方大統領は「年内にゲリラを追い出す」と強気な態度だ。

 しかしマイケルはたまたま路上で、政府軍に逮捕されそうになったゲリラが、敵の指揮官を道づれに手りゅう弾で自爆する場面を目撃したことから、ゲリラの勝利を想像してしまった。

「奴らは異常かもしれないが、金のために戦っていない」。そんなゲリラに強さを感じた。

長年ハバナで事業を拡大してきたロスは、昔からずっといるゲリラなど恐れず、まだまだキューバで稼ごうとしている。

バースデーケーキのピースを分けるように「自分が引退したら全ての利権をマイケルや皆に分け与えよう」などと調子のいいことを言っては、マイケルにハバナへの投資金200万ドルを用意させようとしていた。

「金さえあれば大統領だって夢じゃない」とまで言うロスに、このまま乗っかっていいものか・・・。

 ひとまずフレドに、投資金200万ドルをハバナまで持って来させる。しかしこの頃のフレドは弟マイケルに嫉妬心を抱き、マイケルも知らない人脈を持つことで自分の居場所を作ろうとしていたようだ。フレドはパパが目の前で銃撃されても何もできず、マイケルはその報復を果たした。マイアミでモー・グリーンに使われていた時は、その仕事ぶりをマイケルに侮辱された気持ちになった。そして今もマイケルの使いっ走りだ。元女優の妻は自由奔放わがまま女。自分の手には負えないし、子供もいない。マイケルの家庭に憧れる。そんなフレドに対しマイケルは、

「自分は命を狙われてる身だ。そしてその黒幕はロスだ。」と断言する。奴は「金より力より、健康が大切だ」なんて無欲な隠居じじいのようなことを言ってマイケルを後継者のように扱うが、全く引退する気なんか無い。

 マイケルの敵は多い。敵対マフィア、先代コルレオーネでファミリーを支えてきた古参、立場を奪われプライドを傷つけられた者、個人的にマイケルを恨む者。そして忘れてはならない事件、先の五大ファミリーのボスとカジノ王モー・グリーン殺害事件もあった。

モー・グリーンはロスが弟分のようにかわいがっていた男だった。モーを殺し、彼が一から築いたラスベガスのカジノをマイケルが奪った。しかしロスは誰がモーを殺したかなんて聞かない。殺ったのはマイケルだと分かっていても。欲しいものは殺して奪う「これが我々の仕事だ」と割り切って。そのとおりだとマイケルは思った。200万ドルを払う必要はない。ロスを殺して利権を奪えばいい話だ。

 年越しパーティーの前にハバナ観光をする議員らに、カジノのストリップショーを案内するフレド。ベガスから来たばかりのフレドは、この道のプロであるジョニー・オーラからここのショーを紹介してもらったと言う。ジョニーはロスのボディーガードで、フレドはロスの事も知っている口ぶりだ。その発言を聞き逃さないマイケル。先日フレドは、ジョニーを知らないと言っていたし、さっきもフレドとジョニーは初対面のような挨拶をしていたではないか。下品なショーも気に入らない。フレドは嘘をついている。フレドはロスと裏で繋がっている。

フレドの嘘は、マイケルを大きく傷つけた。周りは敵ばかりで、常に神経を研ぎ澄ませ、身の危険を感じていなければならないというのに、実の兄が自分を欺いている。直接命を狙っていないとしても、心の裏切りをどうやって受け入れよう。自分の兄であり、愛し尊敬するパパとママの息子であるフレドを、自分はどう扱ったらいいのか。こんな時パパだったら、強いドン・ヴィトーだったら、ファミリーを守るためにどうしただろうか。マイケルは迷い、益々周りの人間を信用しない孤独な人間へとなっていく。「孤高」という言葉もあるが、マイケルはあくまでも「孤独」。「ゴッドファーザー」という一大叙事詩は、あくまでもマイケルの悲劇の物語なのだから。

 マイケルの指令で、黒ずくめの男ミオがジョニーとロスを殺しに行く。ロスの寝ている部屋を襲ったミオだったが、駆け付けた警官によって射殺され、ロスは暗殺を免れた。

 年越しパーティー。カウントダウンと共に年が明けた。1959年1月1日、ダンスパーティーが絶頂の瞬間を迎えた時、マイケルはフレドに言う。「マイアミに行く。今度は誰にも言うな」それはフレドが内通者だと知ってるぞ、というメッセージ。「残念だ」。フレドを抱きしめ、怒りと悲しみを込めた暴力的な口づけをする。

外ではゲリラたちが別の盛り上がりを見せていた。パーティー会場ではニューイヤーを喜ぶの貴賓たちの前で、政府軍高官が敗北宣言をした。反政府ゲリラが勝ち、バティスタ大統領は辞任することを発表し、そのまま飛行機でキューバを脱出してしまった。キューバ革命である。多くのアメリカ人はいち早くハバナから脱出しようとパニックになる。散り散りに逃げ惑う群衆に紛れて、フレドはマイケルから逃げるように闇に消えていった。

 無事タホ湖宅に戻ったマイケルは、トムから悪い知らせを受ける。ケイが流産したというのだ。ショックを受けたマイケルはお腹の子が男だったかどうか知りたくて怒鳴ったが、トムは、分からないと答えた。

キューバ革命で事業拡大は失敗した今、兄フレドの裏切りが発覚し、それまでにも自分を裏切る者への報復、ファミリーの死、多くの仲間、家族を失ってきた。そしてまた一人、まだ生まれぬ子供まで失った。自分に対して忠誠を誓う強い見方が欲しかった。出来れば男の子を望んだとしても、それは叶わなかった。

フレドへの絶縁宣言 「二度と顔を見たくない。」

 次男のフレドが生まれたばかりの頃のヴィトーは、後のコルレオーネファミリー、クレメンザとテシオと組んで、盗んだドレスなどを売ったりして稼いでいた。

ここではヴィトーの度胸、機転の良さ、仲間を護るための行動力、状況判断能力の高さなどが存分に発揮されることになる事件が起こる。

街を支配するマフィアのファヌッチが、稼ぎの一部を上納しろと言ってきた。クレメンザたちは払うしかないと言うが、納得できないヴィトーは、俺に任せてくれと言って二人に50ドルずつ出させ、ファヌッチに会いに行く。その100ドルを見せ金に「今はこれしか無いんだ、少し時間をくれれば」と堂々とした態度で信用させた。ファヌッチはそんなヴィトーの事を気に入り、仕事を紹介してやるとまで言うが、結局その売上金だって取り上げられるのだ。こんな奴の小間使いなんてまっぴらだと言わんばかりに、ご機嫌で出ていくファヌッチを白けた目線で見送るヴィトーだった。

リトルイタリーの通りはキリスト教の祭りで賑わっていた。ファヌッチも街頭の商人から貢物を送られたりして、この街のボスは俺様だとばかりに通りを闊歩していた。ファヌッチが家に帰るところまで後をつけていたヴィトーは、用意周到に隠しておいた銃でファヌッチを撃ち殺す。さっき払った100ドルもきっちり返してもらう。銃が放った轟音は、祭りの喧騒と花火の爆音にかき消され誰も気づかない。ヴィトーはたった一人で大仕事をした。初めての殺人とは思えない手際よさだった。

家に帰るといつものように、妻と子供たちが待っていた。ヴィトーはまだ何も分からない赤ん坊のマイケルに「愛してるよ」と言って、抱き寄せた。家族思いの優しいパパと、裏社会のドン、二つの顔を持つヴィトー・コルレオーネがここに誕生した。

 街の鼻つまみ者だったファヌッチを消したヴィトーはその後、皆から頼りにされる存在となり、人脈を広げ評判を上げていった。そして仲間のクレメンザ、テシオ、食料品店のジェンコ・アッバンダンドと共に、オリーブオイルを扱う会社を設立した。それが「ジェンコ貿易会社」だった・・・。

 「ジェンコ貿易会社というのは表向きで、実は犯罪組織なのだろう」

マイケルの時代のアメリカでは、マフィアについての公聴会が開かれていた。クレメンザ殺害未遂の際にFBIに保護されていたチチがそこの社員として証言を求められる。「自分の役割は組織の兵隊で、命令で人を殺すこともある、ボスはマイケルだが話をしたことはない、自分とボスの間には仲介人がいるから」と語る。

仲介人と聞いて顔を青ざめたのはギーリー議員だ。マイケルの隣にはいつもトムがいる。そのトムにギーリーは借りがあった。マイケルがハバナに行っていて不在の頃、とある売春宿でギーリーが目を覚ますと、ベッドの隣でなじみのおネエちゃんが血まみれで死んでいたという事件があった時、トムによって事件ごともみ消されたのだ。そもそもこの殺人事件自体、ギーリーを手中に取り込もうとしたコルレオーネによる「やらせ」なのだろうが。「とある売春宿」とはフレドの店だった。

元々ギーリーはイタリア系マフィアを嫌っていたが、公聴会では手のひらを返したかのようにイタリア人及びイタリア系アメリカ人を全面的に擁護した。憎たらしい男だが、彼の使い道は議員という立場にこそある。

参考人マイケルは、父ヴィトーが「ゴッドファーザー」と呼ばれていた事について、「親しみと敬意を込めた呼び名だ」と説明し、その上で自分に掛かるソロッツォと警官殺害及び五大ファミリーのボス殺害への疑惑、ラスベガスの三大ホテルとの関わり、ニューヨークの賭博麻薬の利権などの件、そしてマイケルがマフィアのボスだと言ったチチの証言それら全てを否定し身の潔白を主張した。更に犯罪人として弁明を求められることに対して不名誉極まりない、自分は第二次大戦でアメリカのために戦い、勲章まで授かった人間だ。コーザ・ノストラなどとは一切関りはないし、これからも本委員会への協力を惜しまない、と演説を終えた。

コーザ・ノストラとはイタリアとアメリカで暗躍する犯罪組織で、複数のマフィアの集合体の事らしい。アメリカのコーザ・ノストラは、ニューヨークにおいては五大ファミリーが実在し、本作に登場しマイケルによってボスたちを殺された五大ファミリーのモデルでもある。実在のマフィアの事、コーザ・ノストラの事を調べると、まさにゴッドファーザーの物語を地で行くドラマが語られているから、それはもう興味深いのである。

 次の公聴会にはフランクが証言台に立つという。彼はマイケルに裏切られたと思っているから、これはかなり不利な状況だ。そもそも今回の公聴会、そしてこれまでの何もかもはロスの仕業であることが分かってきた。フレドはどこまで関わっているのか。彼は何も知らずロスにはめられただけだと信じたい。

 フレドと話すと案の定、何も知らないと言う。しかしロスにまんまと利用されたのは確かだ。常に劣等感を抱いていたフレドは、マイケルのためになりたい、ファミリーのためになる大仕事をして手柄を稼ぎたいと思っていた。そこに付け込まれたのだった。何ともフレドらしい。しかしこのマフィアの世界で簡単に人を信じてしまうのは非常に危険だし、ボスであるマイケルに一言もなく勝手な行動を取るのは、いくら兄だとしても許される事ではないのだ。

それでもまだフレドを見捨てられないマイケルがいる。フレドの事はよく分かってるつもりだ。これまでもこの弱い兄の面倒を見てきたのだから。するとフレドが自分の気持ちを爆発させた。

「面倒?俺はお前の兄だぞ!考えたことあるか!?指図ばかりしやがって!俺は兄だ尊敬されたいんだ!!」

・・!・?・・・。←こんな感じで小さくため息をつくマイケル。まあいい。そんなことはどうだっていい。

「で、公聴会で俺の役に立つことは?」と聞くと、フレド「委員会のクエスタッドはロスの仲間だ。」

・・!・#・・・。←こんな感じで、「フレドもう終わりだ。兄弟でも友達でもない。二度と顔を見たくない。」

公聴会でマイケルに厳しい質問を続けたクエスタット、ロス、そしてフレドが線で繋がった。フレドに絶縁宣告をし、殺し屋のアル・ネリには「ママが生きてる間はフレドは無事だ。」とだけ伝えた。フレドへ執行猶予付きの死刑宣告が下った瞬間だった。

公聴会、ジェンコ貿易会社とは

 次の公聴会に現れたフランク。FBIにがっちり保護されて、マイケルを地に落とすべくやって来た。

一方マイケルは謎のイタリア人男性を連れて入って来た。その男はフランクを凝視し、フランクは気まずそうにしている。

 まず先代ヴィトーとの関係から聞かれたフランクは、「オリーブオイルの仕事から始まり、その裏には犯罪組織コルレオーネファミリーがあった。昔は良かった。ファミリーはローマ帝国のように統率が取れていて、いい時代だった。しかしヴィトー亡き後の二代目ボスマイケルは先代よりも悪で、俺も殺されかけたし、奴の命令で五大ファミリーのボスたちもカジノ王もみんな殺されちまった。そこにいるジェンコ貿易会社の現社長マイケル・コルレオーネは、ニューヨークの賭博犯罪組織を支配するマフィアの最強ボスだ」と証言するつもりだった。

しかしフランクの証言は全く違うものだった。「ゴッドファーザーなんて知らない。そう言えばずいぶん昔、彼の父親とオリーブオイルの仕事をしたなぁ。」

公聴会はひっくり返った。マイケルの弁護人トムが「委員会は謝るべきだ!茶番だ!!」と叫び、その場は騒然となり閉会した。マイケルの完全勝利が決まった。

フランクが証言を覆した理由、それはマイケルが連れてきた男が、何年も会ってないフランクの実の兄だったからだ。

兄は英語も分からず何を発言するでもなく、ただマイケルの隣に座らされ、離れたところから弟を見つめるためだけに連れて来られた。

これがマイケルのやり方だ。脅迫めいたことは一切せずとも相手に恐怖を与え、取るべき行動を自ら選ばせる。フランクの証言により、彼の兄はすぐに自費でシチリアに帰っていった。

 公聴会で証言するマイケルのすぐ後ろで、ずっと不安そうに傍聴していた妻のケイが印象的だったが、その時のケイが抱いたのは不安だけでなく、恐怖と嫌悪であったことは言うまでもない。マイケルの証言は嘘と張ったりばかりだ。

マイケルが身を置く裏社会では、金をちらつかせ、会話の端々で駆け引きし、時に張ったりをかますのが不可欠だ。しかしケイはその稼業を全否定するがゆえに、職業否定とマイケルへの人格否定がない交ぜになっていった。

そしてマイケルを軽蔑し、とうとう子供たちを連れて出ていくと宣言した。公聴会の後で神経がピリついているマイケルは怒鳴り、ケイの訴えを阻止する。ケイの態度は流産の体験からくるのだろうと声を鎮めて気遣うと、そこに爆弾が落とされた。流産についての真実。「おーマイケル、何も知らないのね。流産じゃないの、堕ろしたのよ。あなたの子供をこの世に生みたくなかったの、男の子だった。私が殺したの!」

怒りで震え、眼を血走らせるマイケルは、わざと嫌われようとするかのようにヒステリックに罵倒を繰り返すケイを思いっきり殴り倒す。その瞬間にこの夫婦は終わった。

 フランクの証言のお陰で、コルレオーネファミリーはひとまず守られた。ジェンコ貿易会社はオリーブオイルの輸入会社で、故ヴィトー・コルレオーネはそこの創業社長、跡を継いだマイケルはリゾートビジネスにも手を広げ、今や旅行レジャー協会の代表を務める凄腕ビジネスマンというわけだ。

 そんなマイケルがまだ幼い頃、家族でシチリアに行ったことがある。9歳の時に移民船でニューヨークに逃げてきた父ヴィトーにとっては、25年ぶりの故郷だ。妻の実家を訪問したり、オリーブオイル買い付けの仕事にも家族で同行した。ヴィトーは利発そうなマイケルを常に腕に抱き可愛がっていた。妻は赤ん坊のコニーを抱き、やんちゃ盛りのソニーと甘えん坊のフレド、幸せそうなファミリーと有望なビジネスチャンス。ヴィトーが公私ともに充実し成功をつかみ始めた頃だ。劇伴ではコルレオーネ村のテーマとも言える「愛のテーマ」が流れる。

ヴィトーがこの村に帰省したもう一つの目的は、両親と兄を殺したドン・チッチオへの復讐だ。年老いたチッチオが25年前のやせ細った少年を憶えているはずもない。「ヴィトーコルレオーネです、父の名はアントニオアンドリー二」と自己紹介した直後、チッチオの腹を斜めに切り裂いた。「大人になったら必ず私を殺しに来るだろう」というチッチオの予言は的中した。

コルレオーネ村の住民を長年にわたり脅かしていたチッチオの悪政は、ここで終焉を迎えるのだった。

 ヴィトーが直接手を下した殺人は、(映画で見る限りは)ドン・ファヌッチとドン・チッチオの二人だ。どちらも市民を苦しめるタイプのマフィアのボスで、ヴィトーはその度に周囲から感謝されるようになる。マイケルとの大きな違いがまさにそこにある。ヴィトーとマイケルは共に、目的のためなら手段を選ばない冷徹さを持っているが、ヴィトーは愛すべき家族や名付け子、自分を頼って来る弱い人間の事を第一に考えている。愛情深い男なのだ。父の偉業とも取られる殺人の事をマイケルが知っていたか否かは分からないが、強いパパのようになるんだと気負って完璧を求めるマイケルにも、パパのような優しさがあったなら。

チッチオの前で自己紹介した時のヴィトー(デニーロ)の少し高音のしゃがれ声と表情が、老いてからのヴィトー(マーロン・ブランド)とそっくりで、偉大だったドン・コルレオーネと重なり、懐かしくも寂しい気持ちになってしまった。孫のアンソニーがちょうどこの頃のマイケルくらい幼い頃、おどけて遊んでいるときに倒れて還らぬ人となったヴィトー・・・。

追放、報復、排除、粛清

 ヴィトーと共に温かい家庭を築き、ファミリーの仕事には口を出さず、夫と子供たちを常に愛した優しいママが死んだ。フレドやコニーはもちろん、皆が悲しみに包まれているがそこにマイケルはいない。絶縁宣言後、フレドがいる場所にマイケルは一切現れない。そしてアル・ネリは以前のマイケルの言葉を思い出し、重たい気持ちになる。「ママが生きてる間はフレドは無事だ」。

 最初の夫カルロを殺されて以来、マイケルを憎んでいた妹コニーは、フレドの事を許してやってとマイケルに懇願する。パパみたいに強くしていなければならないと思って行動したマイケルを理解し、許すと言うコニー。確執のあった兄妹は、ママの死をもって和解に至った。同じようにマイケルがフレドを許し、以前のような兄弟関係に戻ることを望んだコニーだった。

 コニーに免じてフレドと会うマイケルは、絶縁宣言から会っていなかった兄と久々に対面し、抱き合う。残された三兄弟妹、これからは手を取り合い力を合わせていこうという意思表明のような抱擁。BGMも感動的に盛り上げる。

ただ、フレドを抱きしめるマイケルの目線の先には、アルネリがいた。「粛清GO」の合図が目で送られた瞬間。

マイケル・コルレオーネ、改めて恐ろしい男だ。

ここでフレドはマイケルと和解できたと思った。その後もマイケルの息子アンソニーと湖で釣りをして、つかの間の平穏な時を過ごした。子供の頃、パパと兄弟とよく釣りに行ったという思い出を、甥っ子に語って聞かせる。でかい魚を釣るおまじないをこっそり教えてあげる。優しいおじさんだ。アンソニーもおじさんが大好きだ。

 ロスを消す計画を話すマイケルとトムとロッコ。イスラエル、ブエノスアイレス、パナマへの亡命を次々に拒否されているロスが、マイアミに戻ったところを狙おうと決める。この世で唯一確かなこと「人は殺せる。」そう言い切って眼をギラつかせるマイケル。そしてロッコに同調を求める。ロッコに対して、殺されても殺せ、という命令にとれる。

ロスによって仕組まれた公聴会では既に勝っている。それでもロスを殺す必要あるか?とトムは聞くが、「敵は全て抹殺する。一緒にやる気がないなら妻と子供と愛人を連れてベガスに行きやがれ」とひどい言い方をされる。トムがベガスホテルの副社長に誘われてる事を知っての発言だ。マイケルは裏切りを絶対に許さない。

 マイケルに忠誠を尽くすしか道がないトムはフランクに会いに行き、公聴会に来ていた兄が無事シチリアへ帰って行った事を報告する。そして古代ローマの話を持ち出す。コルレオーネファミリーをローマ帝国に例え、ファミリーの繁栄を懐かしむフランク。古代ローマでは皇帝に逆らった者は、自決して残された家族を守るという慣習があったという。「そうさ風呂場で湯につかって手首を切るんだ」とフランク。

そういう事だフランク。「あとは心配しないでくれ」と言って、フランクと握手を交わすトム。

 ここから畳みかけるように、マイケル帝国の攻撃の火ぶたが切られる。報復と粛清。前作のラストで魅せた巧みなクロスカッティングが踏襲される。

 ケイが一人家を出ていく日。子供たちを連れていくことは許されなかった。ケイだけが退場し、他は何一つ変わらない。前作のラストシーンのように、マイケルとケイの間の扉が閉じられただけ。しかし今回は、非情なマイケルの手によって閉められた。

 ロスはマイケルの計画どおり、マイアミの空港で取材記者に扮したロッコによってあっけなく銃殺される。その際ロッコも撃たれ死ぬ。

 フランクが、風呂場で手首を切り絶命しているところを発見される。

 フレドはこの日もアンソニーとボートで釣りに出る。パパに呼ばれて陸に戻されるアンソニーにフレドは「あのおまじないで釣ってきてあげるよ、また明日行こう」と約束し、アル・ネリの運転するボートで沖に出る。

夕日に染まり、一羽の渡り鳥が「カー」と啼く穏やかな湖畔に、一発の銃声が響く。その音を聞いたマイケルは、ただうつむくのだった。

 全てを終わらせたマイケルはボートハウスで一人、ソニーが友人のカルロを家に連れてきた日の事を思い出す。

 その日はパパの誕生日で、皆が集まっていた。派手なバースデーケーキを持ってやってきたのはテシオだ。ソニーはコニーにカルロを紹介し、フレドとじゃれ合う。

そしてこの日は日本が真珠湾を爆撃した日でもあり、暗い顔の大学坊やのマイケルは、国のために戦おうと海軍へ入隊してきた事を告白する。

パパを悲しませるなと怒るソニー。

立派だマイケル、おめでとうと握手を求めるフレド。

パパは君の将来を考えているんだよと言うトムに、僕の将来は僕の将来だと言うマイケル。バカだとソニーは言う。

皆が出て行き、外でハッピーバースデーの声が聞こえる。パパが帰ってきたようだ。

その場に残されたマイケルは、一人で静かに煙草を吸う。

 そして多くを失った今、何が、どこでどう狂って、何が正しいのか、何を間違えたのか、マイケルは考える。

答えは出ないが、ソニーもフレドもカルロも、パパもママもテシオも、もうこの世にはいない。

マイケルだけがなぜか孤独ということだけは、あの日と同じだった。

まとめ

 本作は、前作「PARTⅠ」では語られなかった初代ドン、ヴィトー・コルレオーネの出自、そしてファミリー結成までの若きヴィトーのいくつかのエピソードをなぞって彼の本質に迫るヴィトーパートと、ヴィトーが亡くなった後、マイケルが様々な苦悩を乗り越えあがきながらも、コルレオーネファミリーの核、非情な二代目となっていく様を描くマイケルパートが交互に語られます。全く違う時代の話が交差するのですが、これが非常に巧く繋がっていて、お互いのエピソードがそれぞれを補完するように流れていきます。今回登場した黒幕ハイマン・ロスによってヴィトーの過去が間接的に蘇り、ヴィトーが愛した家族の模様や、表稼業と裏社会のトップを両立していった父の生きざまをノスタルジックに語っています。対して現代に生きるマイケルはなかなかの苦労を強いられます。もともとマフィアを嫌っていたマイケルが、なぜファミリーを継いだのか。それはこの「PARTⅡ」を観れば分かります。父に無償の愛を注がれて育ったマイケルは、その愛だけを頼りにファミリーのために冷酷な男になっていきました。父が築いた王国は温かかった。住民が抱えるトラブルを解決して慕われ恩返しをされ、人と人が繋がっていた。しかしその跡目を継いだマイケルは、ファミリーのためという名目を掲げ、誰も望んではいない不幸の嵐を巻き起こす中心となっていきました。それを亡き父が望んだでしょうか。亡き母が喜んだでしょうか。兄弟の中でも一番利発そうな少年だったマイケルは、大きく変遷を遂げる時代の荒波に飲まれるように、自分自身を見失っていくのです。父からの強い寵愛を受け、誰にも止められない強い意志を持ったマイケルだったからこその、悲劇なのです。

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