SF・アドベンチャー アクション

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン(2015年)』――守るために生まれたものが、世界を壊す

  作品データ

作品名:アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン( Avengers: Age of Ultron )

公開年:2015年

監督:ジョス・ウェドン

脚本:ジョス・ウェドン

原作:スタン・リー、ジャック・カービー『 アベンジャーズ 』

出演:   

  • ロバート・ダウニー・Jr
  • クリス・ヘムズワース
  • マーク・ラファロ
  • クリス・エヴァンス
  • スカーレット・ヨハンソン
  • ジェレミー・レナー
  • ドン・チードル
  • エリザベス・オルセン
  • ポール・ベタニー

上演時間:141分

製作国:アメリカ

ジャンル:アクション・SF

画像出典:TMDb(The Movie Database)

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』を再見した。

これは単なるアクション映画じゃない。

『アベンジャーズ』の最初の作品に比べると、「前作ほどの衝撃はない」という印象になりやすい映画かもしれない。

でも本作は、ウルトロンの誕生、ヴィジョンの登場、アベンジャーズの変化、そしてソコヴィアで起きた出来事を通して、MCUが次の段階へ進み始める重要な作品だ。

ウルトロンは、トニー・スタークから生まれた

ウルトロンは、突然どこからともなく現れた悪役ではない。

もともとはトニーの「人類を守りたい」という思いから生まれた。

ニューヨークでの戦いを経験したトニーは、アベンジャーズがいなくても世界を守れる仕組みを作ろうとする。

そのために人工知能を作り、世界を守らせようとする。

ところが、ウルトロンが出した答えは、

「人類そのものを変えてしまえばいい」

だった。

トニーの発想、「もう自分たちが戦わなくていい世界を作りたい」を、

人工知能は「アベンジャーズがいない世界で、今の人類をリセットして、新しい世界に作り直す」

と飛躍して解釈する。

トニーは人類を守ろうとした。

ウルトロンも、自分では地球を救おうとしている。

ウルトロンの考え方は極端だけど、本人なりの「救済」の理屈がある。

正義感や使命感が強すぎて、「守るためなら何をしてもいい」というところまで行ってしまった。

そう考えると、ウルトロンは単なる敵ではなく、トニーの思想が極端な形で暴走した存在なのだ。

それが、この物語の辛い所だ。

ジャービス→ウルトロン→ヴィジョン

今回面白いのが、ヴィジョンという新たなメンバーの誕生だ。

ジャービス。

ウルトロン。

そしてヴィジョン。

この3者は、別々に突然現れた存在ではない。

その流れの始まりにはトニーがいる。

トニーが作った人工知能、ジャービス。パワードスーツや生活までも支える、トニーの頼れる相棒。

そこから生まれたウルトロン。ジャービスを破壊し、アベンジャーズに宣戦布告した。

そして、その先にヴィジョンが生まれる。ジャービスの記憶データを、人口生体ボディに搭載した新たな存在。

しかもヴィジョンには、マインド・ストーンが付いている。

……これはデカい🤣

初めて観たときは、とにかく「新しい強いキャラクターが出てきた!」という感じだったと思う。

この時点ではまだ、

「この人、いったい何者なんだ?」だった。

ウルトロンと同じような存在なのか?

また暴走する可能性はないのか?

どんな能力を持っているのか?

まだ何も分からない。

なのに、いきなりムジョルニアを持ててしまう🤣

そうすると「じゃあ悪い人ではなさそう」

と、なんだか急に安心してしまう(笑)。

トニーが生み出した人工知能から始まったものが、ウルトロンという失敗を経て、ヴィジョンという新しい存在につながっていく。

この流れが、本作の大きな見どころだ。

6人だったアベンジャーズが変わっていく

変わっていくのは、敵や新しいヒーローだけではない。

アベンジャーズそのものも、ここで形を変え始める。

最初は、

アイアンマン
キャプテン・アメリカ
ソー
ハルク
ブラック・ウィドウ
ホークアイ

という「6人」のチームだった。

ところが本作では、ワンダ、ウォーマシン、ファルコン、そしてヴィジョンが加わる。

固定された6人のヒーローチームから、少しずつ大きな集団へ変わっていく。

その中でもワンダの変化は印象的だ。

彼女は最初、スターク社を憎んでいた。

自分たちの人生を壊した存在として、トニー・スタークを敵視していた。

それが、ピエトロの死を経て、アベンジャーズの側に立つことになる。

敵だった人間が、経験を経て仲間になる。

この変化を見ると、このシリーズが単純な「ヒーロー対悪役」だけを描いているわけではないことが分かる。

人は、経験によって立つ場所が変わる。

そしてアベンジャーズもまた、同じ形のままではいられない。

ホークアイは普通の人間

今回は、ホークアイを見る目が少しだけ変わる。

「俺には恋人なんていない」みたいな顔をしておきながら、

実は妻子持ち。

アベンジャーズの中にいて、超能力もない。

神でもない。

金持ちの天才でもない。

怪物に変身するわけでもない。

弓の腕だけが頼りの、普通の人間だ。

そんな彼が、ソコヴィアの戦いの中で「自分には守るべき家族がいる」という現実を見せる。

アベンジャーズには、世界を救えるほどの力を持った人たちがいる。

その中でホークアイには、帰る場所がある。

だからこそ、彼の存在が妙に人間らしく見える。

そんなホークアイを、シールドは利用する。

でも、シールドやアベンジャーズは自分を守ってくれるだろうか。

彼にとって「戦う」ということは、使命ではなく、家に帰れなくなるかもしれない「仕事」なのだ。

だから、自分と家族の生活を守るために、戦うことを辞めようとも考える。

でも結局、戻ってきてしまうというキャラクターなのだった。

そして、ソコヴィア

本作で起きたソコヴィアの出来事は、この先のMCUに大きく影響していく。

ここでアベンジャーズは、ただ「敵を倒して世界を救いました」では終わらない。

彼らが戦うことで、街が壊れ、人々が巻き込まれる。

「世界を守るために戦っているのに、その戦いによって人々が傷ついてしまう」

この問題が、次の物語につながっていく。

そして、トニーとスティーブの関係も、少しずつ違う方向へ進んでいく。

トニーは「守るためには、何かをコントロールしなければならない」と考える。

一方、スティーブは、自分が正しいと思うことを自分自身で選ぶ。

二人は、そもそもの考え方がかなり違う。

さらに二人の間には、ハワード・スタークという過去もある。

トニーにとっては父親。

スティーブにとっては、かつて共に戦った仲間。

同じ人物でも、二人にとっての意味は違う。

こうした違いが積み重なっているからこそ、ソコヴィアでの出来事は、単なる戦闘の結果では終わらない。

長い物語の途中にある一本

シリーズを見直すと、この映画がシリーズの中でどんな位置にあるのかも見えてくる。

ヴィジョンの誕生は、後の物語に大きく関わっていく。

ワンダも、ここからさらに重要な存在になっていく。

トニーとスティーブの関係も、ソコヴィアでの出来事をきっかけに揺らいでいく。

初見のときには、目の前の戦いや新キャラクターに集中していた。

でも再見では、一本の映画として楽しみながら、その後の展開につながる場面も拾える。

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』は、ウルトロンという敵を倒して終わる映画ではない。

トニーが作ったものからヴィジョンが生まれ、アベンジャーズは新しいメンバーを迎え、ソコヴィアで起きたことは次の対立の種になる。

そして、この先、アベンジャーズそのものが大きく揺らいでいく。

そう思って観ると、

「これは、かなり重要な映画だ」

となる。

派手な戦いの裏で、MCUは次の物語へ向かって、大きく舵を切った。

映画は、一本だけで完結するものもある。

でも、長い物語の途中にある一本を、後から振り返って観るのも面白い。

『エイジ・オブ・ウルトロン』は、まさにそんな一本だった。

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