ドラマ・コメディ

『ニュー・シネマ・パラダイス(1988年)』――映画と出会った人生

本作は、いくつかのバージョンが発表されている。

173分の「完全オリジナル版」

155分の「オリジナル版」はイタリアで上映

124分「劇場公開版」

があるのだが、今回は、劇場公開版について、書こうと思う。

  作品データ

作品名:ニュー・シネマ・パラダイス ( Nuovo Cinema Paradiso  )

公開年:1988年(日本公開:1989年)

監督:ジュゼッペ・トルナトーレ

脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ     

出演:   

  • サルヴァトーレ・カシオ
  • フィリップ・ノワレ
  • ジャック・ペラン

上演時間:124分

製作国:イタリア・フランス

ジャンル:ドラマ

画像出典:TMDb(The Movie Database)

映画好きな人間が避けて通れない一本。

とは言え、私はかなり久しぶりの再会になる。

リバイバル上映にて、ざっと30年ぶりくらいだろうか。

そう考えると、ちょうどトトが生まれ故郷を捨て、アルフレードとも音信不通になっていたくらいの時間が流れたことになる。

長いような、短いような……🤔

30年ぶりに観る名作映画。

映画そのものは変わっていない。

でも、観る側の自分は、30年前とはまったく同じではない。

だから今回は、映画を観ているというより、昔の自分と一緒にこの映画を観直しているような感覚もあった。

劇場版と完全版

実は完全版は、わりと最近観ている。

だから今回は、劇場版と完全版の違いもかなり気になった。

細部を比べるまでもなく、劇場版では重大なシーンがバッサリ切られている。

特に大きいのが、完全版にあった、あの「寄り道」のエピソード。

そして、エレナとの再会。

劇場版では、このエピソードが本当に跡形もなく消されている。

これは単に「エピソードが減った」という話ではないと思う。

トトの人生そのものの意味づけが変わってくる。

エレナという女性がトトの人生の中でどんな存在だったのか。

そして、映画と人生がどう結びついているのか。

そこまで変わってしまう。

完全版には、人生の生々しさや、ちょっとした寄り道や、決してきれいには整理できない感情が残っている。

一方、劇場版はそれらをかなり大胆に削っている。

性の匂いや人生の回り道を取り除き、物語をすっきりと整えている。

その結果、劇場版はより多くの人に届く、純粋な「映画への愛と感動の物語」になった。

でも、どちらが正解という話ではない。

どちらも凄い。

ただ、同じ物語でも、何を残して何を切るかによって、こんなにも映画の意味が変わるのか、と改めて驚かされた。

そして、アルフレードの印象まで変わってくる。

完全版のアルフレードと劇場版のアルフレードでは、トトとの関係の見え方が少し違う。

それでも、どちらのアルフレードにも共通しているのは、トトのことを思っているということだ。

彼はトトに映画を教えた人であり、トトの人生を変えた人でもある。

人生を変えてしまう「出会い」

トトにとって、アルフレードとの出会いは、単なる「映画好きのおじさんとの出会い」ではない。

アルフレードと出会ったことで、トトは映画を知った。

映画館という場所を知った。

そして、まだ見たことのない世界を知った。

やがてトトは故郷を離れ、映画の世界へ進んでいく。

つまりアルフレードとの出会いは、トトの人生の方向を変えてしまった。

これって、私たちの人生にもあるんじゃないだろうか。

人生を変えるような出会いというのは、必ずしも「あなたの人生を変えてあげます」とやって来るわけではない。

たまたま出会った人。

たまたま観た映画。

たまたま立ち寄った場所。

そんなものが、後になって振り返ると、

「あれが自分の人生の分岐点だったのか」

と思うことがある。

アルフレードは、トトにとってまさにそういう人だったのだと思う。

そして、あのラスト

そして、この映画について語るなら、やっぱり最後のあのシーンだ。

アルフレードがトトに残した、映画のキスシーンを繋ぎ合わせたフィルム。

これは多くの人が感動する場面だと思う。

でも、映画が好きな人間にとっては、その感動がさらに別のところまで突き刺さってくる。

だってこれは、アルフレードからトトへのメッセージであると同時に、

映画そのものから、映画を愛してきた人間へのメッセージ

にも見えるからだ。

スクリーンの中で、次から次へとキスが繋がっていく。

それは映画の歴史であり、映画館で人々が笑ったり、泣いたり、恋をしたりしてきた時間そのものにも見える。

そして、それを観ているトトの顔を見る。

ここでみんな号泣。

私ももちろん泣いた。

でも、この涙は単に「感動した」という涙ではなかった気がする。

たぶん私は、映画が好きすぎて泣いた。

映画を観てきた自分の時間まで、まとめて持っていかれたような涙だった。

映画図書館に、この一本を

トトの人生を変えたのは、アルフレードとの出会いだった。

でも、トトの人生を最後まで支え続けたのは、アルフレードから受け取った「映画」だったのかもしれない。

人との出会いが、人生を変える。

そして、その出会いから受け取ったものが、その人の人生の中に残り続ける。

30年ぶりにこの映画を観て、私はそんなことを思った。

そして今度は、私自身の映画人生を振り返っている。

30年前に観た映画を、30年後の自分がもう一度観る。

その間に、自分にもいろいろな出会いがあった。

いろいろな映画を観て、笑って、泣いて、時には「なんだこの映画🤣」と思ったりもしながら、ここまで来た。

そう考えると、映画って不思議だ。

観た瞬間に人生が変わることもある。

何十年も経ってから、もう一度人生に戻ってきてくれることもある。

『ニュー・シネマ・パラダイス』は、私にとって、そんな一本だった。

映画は、誰かとの出会いを通して、その人の人生を変えていく。

そして、その映画との出会いもまた、いつか自分の人生の一部になっていく。

『ニュー・シネマ・パラダイス』は、私にとって、そんな一本だった。

映画は、誰かとの出会いを通して、その人の人生を変えていく。

そして、その映画との出会いもまた、いつか自分の人生の一部になっていく。

トトとアルフレード。

この二人の出会いを描いたこの映画を、私の映画図書館に並べたい。

この棚の本

  • 『マイ・インターン』
  • 『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』
  • ロッキー

映画は、人生の中に残り続ける出会いをくれる。

そんな一本に出会えたなら、私はこの図書館に並べていきたい。

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