銀河への招待状を開いた先にあった、まだ見ぬ世界
『スターウォーズ』という作品が、なぜこれほど長い年月、世界中の人々を惹きつけ続けているのか。
その理由のひとつは、壮大な世界観にあると思う。
しかし、その魅力は単に「設定が細かい」とか「宇宙を舞台にした物語だから」というだけではない。
観るたびに感じるのは、銀河という世界が、どこまでも広がっているという感覚だ。
そして、その魅力が一気に深まった作品が、『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』である。
『新たなる希望』は銀河への招待状だった
1977年に公開された『スター・ウォーズ/新たなる希望』は、映画史を変えた作品だった。
砂漠の惑星タトゥイーン。
若きルーク・スカイウォーカー。
銀河を支配する帝国。
反乱軍との戦い。
私たちは、そこで初めて「遠い昔、遥か彼方の銀河系」で繰り広げられる冒険に出会った。
まるで、未知の世界への招待状を渡されたような感覚だった。
しかし、『帝国の逆襲』は、その招待状を開いた先に待っていたものを見せてくれる。
それは、まだ知らなかった銀河の巨大な地図だった。
そこにはまだ見ぬ惑星があり、
新しい仲間がいて、
新しい敵がいて、
そして主人公自身も大きく揺さぶられる。
物語は始まったばかりだった。
銀河には、まだまだ奥があった
『帝国の逆襲』を観てまず感じるのは、世界の広がり方の凄さだ。
冒頭の舞台となるのは、雪に覆われた極寒の惑星ホス。
前作の砂漠の風景とはまったく違う世界。
猛獣ワンパが狩りをし、乗用爬虫類トーントーンが人間と共に暮らしている。
反乱軍と帝国軍のAT-ATによる、激しい地上戦も繰り広げられる。
その後、ルークは惑星ダゴバへ向かい、ジェダイマスター・ヨーダと出会う。
一方、ハンたちを乗せたファルコンは、小惑星の洞窟だと思って逃げ込んだところが、なんとスペーススラッグの腹の中だった!というとんでもない場面にも遭遇する。
さらに物語は雲の惑星ベスピンへ。
そこでは、ランド・カルリジアンというハンの過去を知る人物が登場し、ボバ・フェットという印象的な賞金稼ぎも現れる。
どの場所も、どのキャラクターも、それぞれ違った雰囲気を持っている。
一本の映画の中で、ずっと場面が切り替わり、いくつもの惑星を旅している感覚。
次はどんな世界を見せてくれるのだろう、というワクワクが途切れない。
『帝国の逆襲』は、とにかく印象的なシーン、場面がたっぷり描かれていて、全く飽きることがない。
そして、銀河がただ広いだけではなく、そこにさまざまな文化や生命が存在していることを教えてくれる。
新たな登場人物や場所が増えるたびに、この銀河にはルークたちでさえまだ知らない歴史がずっと昔からあったことを感じられる。
壮大な神話なのに、誰でも楽しめる冒険活劇
改めて感じるのは、『スター・ウォーズ』旧三部作には驚くほどユーモアが多い。
皮肉ばかり言うハン。
負けず嫌いで言い返すレイア。
それを見てニヤニヤするだけのルーク。
吠えるチューバッカ、ずっと慌ててるC-3PO、無言なのに存在感が半端ないR2-D2。
軽快な掛け合いで、時には笑わせ、物語を親しみやすいものにしている。
そしてその軽妙な会話は、若々しく元気で、「新たなる希望」に満ちた、怖いもの知らずの若者たちの姿だった。
銀河を舞台にした壮大な神話。
しかし同時に、個性豊かな仲間たちが繰り広げる大衆劇、冒険映画なのだ。
この絶妙なバランスこそ、『スター・ウォーズ』が世界中で愛され続ける理由なのだと思う。
最近では設定資料やスピンオフが膨大になり、マニアのための作品という印象もあるが、この頃の『スター・ウォーズ』を観ると、まず純粋に面白い冒険活劇として成立していたということを感じる。
勝利ではなく、次へ進むための物語
『帝国の逆襲』は、前作のような爽快な勝利では終わらない。
反乱軍は、確実に追い詰められる。
ハンは帝国の手に落ち、カーボンフリーズされてしまう。
レイアがハンを見つめる表情には、深い悲しみがある。
ルークもまた、ベイダーとの戦いで大きな挫折を経験する。
次はどうなる!?というところで終わる、
結末だけ見ると、かなり衝撃的で苦い作品だ。
しかし、不思議なことに、このラストに絶望感は残らない。
なぜなら彼らが若く、いつも軽口を叩きながら未来へ進んでいくエネルギーに満ち溢れていたから。
だから観客は彼らを信じる。
そこには、スター・ウォーズらしい、希望しかないからだ。
この仲間たちは、きっと再び立ち上がる。
『帝国の逆襲』の敗北は、物語の終わりではない。
次の冒険へ向かうための、大きな一歩だ。
『新たなる希望』が銀河への招待状だったとしたら、
『帝国の逆襲』は、その先に広がる巨大な世界地図だった。
まだ知らない場所がある。
まだ出会っていない仲間がいる。
まだ解き明かされていない秘密がある。
前作『スター・ウォーズ/新たなる希望』で受けた驚きなんて、まだまだ小さいと感じてしまう。
スター・ウォーズの旅は、まだ始まったばかりだ。