鬱々としたブルースウェインと、ニルバーナの音楽が、一貫性を持った世界観を創り上げている。
ダークナイトトリロジーのリブート版で、話の流れからして一作目ビギンズと二作目ダークナイトの間。
こちらのブルースは、只今引きこもりでなかなか会えない著名人という人物。
ルーシャスフォックスは出てこないので、テクノロジーの派手さはなく、
一見ハロウィーンレベルの変なマスクを被ったヒーロー願望強めの普通の兄ちゃんて感じ(もはや普通ではない)。
ヴィランのリドラーは、ゴッサムシティの治安に不満を抱く住民代表といったところだろうか、キャラクターを見せるというより、
謎々でバットマンを翻弄するための存在でしかない。
で、このバットマン、出されたクイズを解くことに執心して、しっかりと翻弄されます。あっちで聞いた話、こっちで聞いた話にいちいち振り回される。
当然キャットウーマン、セリーナにも心を乱され、もうホント青い(あ、謎々にも黒くて青いのなーんだ? 答え:バットマン てのあったな、)。
自分のことを「復讐」と表現し、悪に対して憎悪と恐怖で戦ってきた病み期のバットマンが、復讐や恐怖では何も変えられないと気づき、
人命救助、救済という形の正義を発見するという結論でひとまず落ち着いてエンド。
ただ悲しいことに、このゴッサムシティの悪が消えてなくなることは無い。
ヘドロで出来た底なし沼に、ガスのあぶくのようにボコボコと次から次へと沸き上がってくる感じの悪。
そしてアメリカ人はこの不毛なヒーローを長年にわたり描き続ける。
アメリカ人にとって必要なんだろう、身を賭して怪物と戦い続けるヒーロー像を身近に感じるという作業が。
だから何度も何度も作り直す。スパイダーマンもそうだけど。
でもそれを私たちは楽しく、または心を痛め、毎度毎度観てしまう。
その感じ、嫌いじゃない。
セリーナとのバイクの並走シーンは清々しく、プラトニックな二人が無性に可愛らしかった。
ディズニー+ にて鑑賞