禁酒法時代のギャングと言えば、ゴッドファーザーやアンタッチャブルに出てくる泣く子も黙るヤバい人達。
こちらのスパッツ兄貴率いる一味も、非情にも機関銃をぶっ放し、悪人の極みに違いないのだけど、こちらはそう、コメディ俳優によるコメディ映画です。
命を狙われるバンドマンの二人が女装して逃げるという設定も、最初からドタバタ喜劇が想像されるし、
安定のビリーワイルダーと、天才喜劇俳優ジャックレモン(この頃はまだ駆け出しでしたが、最初から天才だった模様)で面白くならないわけない。
そして鑑賞。
お熱いのがお好き? あー、マリリンモンローのね。違います。間違ってないけど、ここは、ジャックレモンの、と言いたい。
もちろん当時のモンローは良くも悪くも世の注目を集めたし、その後突如この世を退場してしまったから、
図らずも本作への付加価値にはなったでしょうが(悪い言い方をすれば。でももちろんモンローも最高に魅力的だったことは確信する事実です)。
特筆すべきは、喜劇俳優ジャックレモンの、あの振り切った演技があってこそ、ビリーワイルダーはあそこまでコメディ色に振り切れたんじゃないかな、ということ。
ビリーワイルダーとジャックレモンと言えば、「アパートの鍵貸します」「あなただけ今晩は」など、どちらもラブコメディで、外れなし。
水を得た魚のような(お互いが水であり魚である)コンビなんだと思う。
後にジャックレモンの永遠の親友となる、ウォルターマッソーとの初共演作もビリーワイルダーだった。
彼らのような天才(監督と俳優、俳優と俳優)がタッグを組めば、1+1が4にも5に、10にだってなるような、無敵な映画って実際ある。
残念ながらマリリンモンローはかなりの問題児で、監督やトニーカーチスとは最強タッグとはならなかったようだが。
何回観ても楽しめる、無敵な作品であることは間違いない
U-NEXT にて鑑賞